« 2010年2月 | メイン | 2010年4月 »

2010年3月

2010年3月30日 (火)

レストア日記2009 UC-Ⅰの整備

B-Ⅰ本体の整備が終わったので、UC-Ⅰを整備します。

30年経過したUC-Ⅰで間違いなく劣化しているのは、LEDを前面パネルに押さえつけているウレタンスポンジでしょう。下の写真のようにボロボロになっていて、前面からLEDが落ちたような状態になっているはずです。wobbly

照明用豆球は切れていませんが、近々切れる可能性も高いので指定された定格の新品豆球に交換しておきます。

Ucled 劣化したスポンジと交換する豆球(メータの下の4個)

上記のLED基板は、放置すると基板の電源端子部分がシャーシと接触ショートし、B-Ⅰ本体側も故障する可能性があります。よ

って放置はできませんので、この現象のある方(殆どが該当すると思います)は早めに修理してもらうことをお勧めします。happy01

最初は前面パネルにLEDを接着しようとも思いましたが、オリジナルに忠実に新しいウレタンスポンジにて同様にLEDを前面パネルに押さえつけました。

下の写真が交換後です。

Ucled_2

UC-Ⅰの接点も音楽信号が通りますので軽く磨いておきます。

Uci

回路部分については、過去、メータ回路用トランジスタの不良(ノイズ発生)により入力が無い場合もメータが若干振れてしまう不具合がありましたので、念のために全てのIC、トランジスタ、コンデンサの交換を行いました。

Uc 使用半導体

TA7129は、B-Ⅰ,UC-Ⅰで使用される唯一のICです。入手は難しいのですが手持ちの新品がありますので、それに交換します。このICは対数アンプ用に使用されており、トランジスタと抵抗から成るシンプルな構成の比較的初期のICです。

Uc_2 基板整備後

UC-Ⅰは、擬似負荷を接続した状態で1W,10W,150Wの3点で調整するようになっています。

UC-Ⅰの出力表示は8Ωの負荷を接続した場合のその両端に発生する電圧を内部の対数アンプで対数圧縮して表示する仕組みです。よって、擬似負荷には8Ωの抵抗を接続して調整しなければなりませんが、私の持っている擬似負荷は6Ωですので、75Wの表示の場合は実際は100Wが出力されていることになってしまいます。従って、調整の際は8Ω換算した表示値とする必要があります。

この回路で交換した部品は以下の写真の通りです。メータ照明用豆球も含めて合計43個です。全て新品に交換しています。

Uc

2010年3月21日 (日)

レストア日記2009 筐体取り付け部品の整備

3月前半は、ある方から依頼を受けたB-Ⅰの修理を行ってました。今まで経験したことの無い箇所の故障が数点あり、大変良い経験をしました。ご依頼者の了解も得ましたので、このシリーズが終わったら紹介したいと思います。happy01

前回までは、基板上の回路や、ユニットになっている部分の整備状況について紹介しましたが、今回はそれ以外の部分になります。

1点目は-200V電源平滑用ケミコンで、正面から見て左側奥に取り付けられています。

整備する前は、ケミコンのカバーの頭が経年による割れのため、接着剤でくっつけられてました。

Cew

オリジナルのケミコンである日本ケミコン社のCEWタイプは既にカタログから落ちているようで、入手はできませんが、入手できたお友達から譲っていただきました。

最近のケミコンは相当小型化されており、大きさが合わなかったりしますが、今回はオリジナルと同じCEW型ですので問題ありません。技術の進歩により、長さが若干短くなった程度です。太さが変わると取り付け時に困りますが長さが若干短くなる程度は問題ありません。

Cew_2

2点目はOMRONの出力用リレーの交換です。

このリレーは密閉型ではありませんので、接点の酸化が進んでいるケースがとても多いです。古いものはアクリルの部分が黄色く変色してますのですぐに分かります。

今回は、5個全て新品に交換します。このまま放置すると歪率が劣化して確実に音が濁ります。誰が聞いても分かるくらいです。

このリレーは入力のフィルタ回路で使われているリレーと違い、B-Iのオリジナル部品の中で現在も販売されている数少ない部品の一つです。

ただし、1個あたりの価格は高くなってしまいました。1000円くらいしますので、この部分だけでも5000円します。でも新品のリレーに替える効果は大きいですよ。

使用していない2~5番目のリレーと交換すれば良いという考えもありますが、このタイプのリレーは適度にスイッチが入ったり切れたりしていることが接点不良防止のために必要です。長い間使用されていないと空気中の酸素や微量の硫化水素により酸化などが発生します。

よって、使っていないリレーと交換しても良い結果が得られないケースは多いのです。従ってプロ用機器では使用頻度の低い他部位のリレーと交換するようなことは絶対にしません。それは、古いリレーをだましだまし使うことが早晩サービスに支障を及ぼすことが分かっているためです。

従って、リレーは新品にするのが唯一の正解です。

Dsc07772

↑高い透明度の新品リレー5個。右側は-200V電源用の新品CEWケミコンです。

3点目は終段電源整流用ブリッジの交換です。

この整流用ブリッジは割と丈夫だと思いますが、過去に1度だけ不良がありました。

今回は最新のパナソニックの最新のケミコンに交換しましたが、従来のものより高性能であり突入電流もこれまでより大きくなると思われます。

したがって、オリジナルでは400V25Aのものが使用されていますが、お友達から譲って頂いた容量の大きい600V35Aのものを使用しています。

Photo

終段ケミコン、-200V電源用ケミコン、スピーカリレー、整流ブリッジ、電源スイッチ回路で交換した部品は以下の写真の通りです。合計19個です。全て新品に交換しています。

Sw

2010年3月 1日 (月)

レストア日記2009 2SK77ユニットの整備

B-Iの心臓部であるこのユニットには2SK77という大きな静電誘導トランジスタ(SIT)実装されています。

YAMAHAの星十郎氏によると、B-Iのプロトタイプ発表の際の無線と実験誌の記事において、「終段をシングルプッシュプルで150Wを得る設計となっており、これはパワーFETの設計に入るときからの基本的考え。また、純コンプリメンタリ回路方式も採用しない」と述べられています。

そう考えた理由を、次のように述べられています。

noteパラにするとトランジスタの諸特性が良く合っていないとアイドル電流のアンバランスや歪などの点で不利になる場合が多い。

noteFETは原理上トランジスタに比べてアイドリングのバランスをとることが困難で、特に終段は複雑なインピーダンス変化を示すスピーカを直接駆動するところで音質に微妙に影響する。

noteN-chとP-chのFETを使用した純コンプリメンタリ回路を採用した場合、入力容量や出力特性、伝達特性などのあらゆる特性を全ての動作条件で良く合わせることは現時点で困難。

noteN-ch同士でも2個ペアで厳密に選ぶことは困難なのに2個以上4個5個と揃えるのはどんなに大変なことか。

note素材の対称性、回路の対称性を最重視して各増幅段を構成した。

誠に極めて素晴らしい考え方で、それが35年も前に考えられ商品化されていたことに驚嘆いたします。

また、驚かされるのは、上記の通りB-Iの仕様が先に決められ、それに合わせて終段の素子の設計・開発が行われていることで、今では考えられないことですね。sign03 今同じことをやったら1台あたり数百万円のアンプになるでしょう。

ついつい、横道にそれてしまいました。

このユニットの2SK77は残念ながら片チャンネルの2個が焼損してましたので交換しました。電源基板のバイポーラトランジスタの焼損が引き金となったようです。

正常な方も一旦全てを取り外してシリコングリスを塗布して再取り付けします。

2sk77

2sk77_2

それぞれの写真の上段が整備前、下段が整備後です。写真のとおり、整備前は毛布を被ったように綿ホコリが付着してます。これでは十分な放熱が出来ません。しかし、長年整備していない普通のB-Iのほとんどはこのような状態です。

また、シリコングリスは固化してしまっており、触るとポロポロと落ちてしまいます。放熱性能は極めて低下していたものと思われます。バイポーラトランジスタだと熱暴走してすぐに昇天してしまうかも。SITは原理的に熱暴走しない点もいいですね。

ついでに高耐圧のセラミックコン、抵抗器も交換しました。