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2010年2月

2010年2月28日 (日)

レストア日記2009 電源スイッチ回路

さて、下の写真の基板はどこに実装されているでしょう?

Sw

この基板は裏面を開けても見ることはできません。電源ケミコンのカバーを開けると見ることができます。

B-Iでは、前面の小さなスイッチで2台の大きなトランスの電源をON/OFFしているのではなく、この回路が制御するOMRON製の大きなリレーでトランスの電源をON/OFFしています。

従って、この回路が不調となると「電源が入らない」とか、「電源は入るけど切れない」と言った不具合が発生します。

今回は全ての部品を交換し、パターン面も洗浄しました。こんな回路に使用するのはもったいないのですが、手持ちが無かったのでケミコンはミューズを使用しています。

Sw_2

かなり綺麗shineになったと思います。

元々が無線技術屋で、大電力短波送信機の高周波回路等の整備をしていたせいか、どうしても外観よりこのような見えない所に力が入ってしまいます。coldsweats01

2010年2月19日 (金)

レストア日記2009 大きなケミコンの交換

さて、問題の大きなケミコンの交換です。

これまで何度も指摘していますが、既に30年以上経過したアンプですので、このケミコンが初期の性能を保ったままで正常動作しているものは皆無だと言えます。

元々付いていたケミコンは片側の端子から液漏れした跡があり、リークもかなりあったため、充電後1分もすれば放電してしまう有様でした。それでも一応動作はしていたのです。wobbly

YAMAHAには当然このケミコンの保守用部品はありませんし、同一品または類似品も市販はされていません。crying

じゃあ、B-Iを延命させるには、あの狭いスペースに収まるケミコンユニットを作るしかないってことになってしまいます。

で、今回も作ってしまいました。これで4ユニット目です。

最初の2ユニットは日本ケミコン製のケミコンをトータル16個使用したものでしたが、3ユニット目と今回はパナソニック製のケミコンを4個使用したものです。B-Iのオリジナルは松下製ですので、基本的に同じメーカってことになりますねheart01

しかし、このケミコンも既にディスコンになっているようで入手できなくなってしまいましたが、幸い販売中止直前に一定数確保できました。

このパナソニック製ケミコンの規格は、

dog 耐圧と容量:100V15,000μF

dog 動作温度:-40℃~+85℃

dog リプル電流:85℃において10A(オリジナルは5A)

dog リーク電流:最大3.7mA(オリジナルは、5mA以下)

dog 寿命:3000時間

と規定されています。

なお、製造は米国ですので信頼できると思います。

今回でケミコンユニット製作は4ユニット目ですが、1つとして同じものはありません。それは、毎回改良を加えているためです。

今回の改良点は、内部配線の線材の強化です。

使用した線材は、0.32mm×45本撚り線の導体外形2.5mmのもので、許容電流39アンペアの太い国産の線材です。

Photo 端子をかしめて半田を流し込みます

Photo_2

ケミコンを載せるガラスエポキシ基板で、エッチング後、穴あけ途中のものです。ケミコンは5端子(内、1端子は遊び)ですので、ケミコン1個あたり5個の穴が必要です。

Photo_3 完成後

Photo 側面のパターン面

上の写真が組み上げ後です。かなりコンパクトに仕上がり、構造も比較的シンプルです。配線材はビニール被服ですが、安全のためにガラス繊維の白いチューブを配線材全体に被せています。

また、ガラスエポキシ基板上のスペースを活用し、下の写真のとおり2.2μFのフィルムコンデンサもケミコンに並列に接続しました。

Photo_4

ケミコンは基板に接着させ、頭同士も接着していますので、ユニットの歪も生じにくく、大変しっかりとした造りになりました。(自画自賛coldsweats01

これを元のケミコンユニットの位置へ実装します。本体への干渉はありませんし、当然ながら本体の加工も不必要です。happy01

2010年2月16日 (火)

レストア日記2009 ドライバ回路その2

YJ1200交換後の写真を紹介します。

Yj1200

新品になったYJ1200が写真左端に写っています。毛布のようにホコリを被っていたFETも一旦外して磨いてます。また、バイポーラトランジスタも全て新品になりました。

問題のある海外のM社製トランジスタは、YAMAHAも推奨する国産のトランジスタと同じ型番のものに交換します。

また、2SA763も交換します。同一メーカ(新日本無線)の同一規格のもので、メタルキャンタイプの2SA620に交換します。写真の中ほどの丸い銀色の頭で金色の足を持つトランジスタです。同一規格ですが、ジャンクション温度の最大定格は175度となっており、2SA763より高いです。

前のブログで説明したとおり、半固定抵抗も抵抗値が変化していますのでBIAS調整用以外はコパルのRJ-13Sに、BIAS調整用は巻線タイプのλ-13Sのそれぞれ新品に交換します。

固定抵抗は全部は交換していませんが、以前のブログで説明したとおりこの基板にも電力容量が不足する抵抗器があります。通常は計算した必要電力容量の2倍以上の抵抗器を使用する必要がありますが、一部抵抗器では、計算したところ0.2W以上の電力損失が与えられる部分に許容電力容量が0.25Wの抵抗が使用されています。B-Iは、筐体内部の温度が高くなる(特に夏場)ため、許容電力は更に小さくなるはずですが....coldsweats02

従って、本来なら0.5W以上の抵抗器が使用されるべきでしょう。確認してみたところ実際5%以上抵抗値が変化していました。よって、これらは必ず容量の大きい新品にしておく必要があります。

酸化金属抵抗は抵抗値の大きな変化はありませんでしたが、高熱を発するため念のため全数交換します。

2SK75を使用した2SK77のドライブ回路はソースフォロアによるドライブ回路となっています。2SK75のソースはインピーダンスの高い定電流回路となっているのでドレイン接地、即ちソースフォロア回路となります。

この定電流回路は、2SK75のばらつきに影響されず終段の直流動作点を設計値にピタッと安定させるため極めて重要な回路です。そのため、信頼性の高いDALEの巻線抵抗RS-2Bを使用しています。

また、2SK77のゲートに直結している抵抗には低歪率で定評のあるDALEのCMF55を使用しています。(下の写真をご参照ください)

Dale

写真上方の2個の黒い抵抗がDALEのRS-2B、手前のピンク色の抵抗がDALEのCMF55です。写っている2つのトランジスタはオリジナルと同じ物の新品です。これも既に入手困難です。

また、抵抗器に被せてあるのガラス繊維製チューブも茶色に変色してますので、純白の新品shineに交換しました。これで基板の見た目も一層綺麗になります。

基板のパターン面はフラックスが劣化し大変汚い状態となっています。このB-Ⅰだけでなく、30年経過したB-Ⅰのほとんどがこのような状態と思っていただいて構いません。洗浄する前と後の写真は以下の通りです。比較してみてください。

Photo

少なくとも私がかつて保守していた通信事業用の大電力送信機では上のような基板の状態のものを継続使用することはありませんでした。基板はおろか、大小のコイル一本一本を無水アルコールで洗浄して商用に供していたものです。放置すると激しいスパークの元となり、重要通信に支障を与えるためです。

この回路で交換した部品は以下の写真の通りです。白いチューブを除き合計64個です。全て新品に交換しています。

Photo

2010年2月14日 (日)

レストア日記2009 ドライバ回路その1

以前のブログで紹介したとおり、昨年の4月にドライバ回路の初段のFETであるYAMAHAオリジナルのYJ1200が奇跡的に入手できました。

http://vfet.blog.bbiq.jp/blog/2009/04/index.html

http://vfet.blog.bbiq.jp/blog/2009/05/yj-12002-43e0.html

このFETが新品になるということは2つの利点があります。

1点目はノイズや歪の改善の可能性があることです。

昨年、お友達のB-Iを整備した際には、このFETを試しに交換しました。結果、高出力域の歪率が大幅にが改善しました。http://vfet.blog.bbiq.jp/blog/2009/08/post-3ace.html

2点目は、今後当分の間は初段の経年劣化による問題が回避できることです。

恐らく、もうYJ1200を新品で入手できることはまず無いと思います。

今回のB-Iも、正常に動作し歪率も特段悪くないのですが、上記の2点を考え新品にします。従ってYJ1200の劣化による不具合は当分は発生しないと思います。happy01

下の写真は、YJ1200の交換前です。足が短かく背が低いYJ1200が写真中央に見えます。この時点では、ミューズのBPだけが新しいものになっています。

Yj1200

2010年2月11日 (木)

レストア日記2009 電源制御回路

この回路は地味ですがB-Iにとっては大変重要な回路です。

Photo

基板だけであれば、ほとんど故障することはありませんが、下の写真の放熱器付きのトランジスタも含めると一気に故障率が上がります。

Photo_2 ピカピカshineな新品トランジスタ

この回路は、B電圧の低下、過電流、+12V制御用電源の状態を検出して終段FETへの電源を制御しています。

基板上のトランジスタと、酸金抵抗は全数交換しました。

大きなマイラコンは容量の大きな変化はありませんでした。若干の変化であれば非安定マルチバイブレータの時定数が少し変わる程度ですので動作に大きな影響はありませんが、念のため交換しておきます。

問題は、2枚目の写真のトランジスタです。コレが昇天して終段FETも道連れに昇天しているケースが多いです。

整備していないB-Iは、このトランジスタのシリコングリスが乾燥してポロポロ落ちてしまいます。これでは、放熱が十分できずに焼損しても仕方ないでしょう。 

このトランジスタを経由して常時終段に電源供給されていますので、確実な動作が必要です。例のアレニウスの法則を考慮すれば、経年による劣化も十分考えられますので、-200V電源用のトランジスタと一緒に交換しておきます。使用したトランジスタは、サンケン製のオリジナルと同じもので、もちろん新品です。

写真のとおり、ピカピカshineですね。このトランジスタは以前はどこのパーツ屋にも売っていたんですが、今は入手は難しいです。

ちなみに、この回路は定電圧電源回路ではありません。終段への電源供給をON/OFF制御する回路です。

最後に電源制御回路の基板裏面の写真を載せておきます。汚いフラックスの洗浄後は新品のようになりました。

Photo_3

この回路で交換した部品は以下2枚の写真の通りです。白いチューブとジャンパを除き合計74個です。全て新品に交換しています。

Photo_4

Photo_3

では、次回はドライバ回路を紹介します。お楽しみに。

2010年2月10日 (水)

B-I以外のアンプのレストア

レストア日記を今回ちょっとお休みして、B-I以外のアンプのレストアに対するホンネを書いてみます。

「縦型FET(SIT)アンプ」というブログなのですが、B-Iのレストアしか掲載していないので、時々、B-I以外のアンプのレストアはしないのかという質問を頂きます。

もちろん、B-I以外のアンプに全く興味が無い訳ではありません。今はB-Iを使用していますが、B-Iにハマる前は自作のアンプを使用していました。なので、いまもレストアの合間にちょっとした電子工作もしたりします。

バイポーラトランジスタ機としてSANSUIやアキュフェーズなどのアンプ、SITアンプとしてはYAMAHA B-2、B-3、VictorのJM-S7なども整備しましたが、B-Iほどは思い入れができませんでした。その中ではB-3がスタイルも個性的で、音も明るくステキなアンプですので気に入ってます。B-Iをストーブのように感じる夏場に主に活躍してもらっているアンプです。

思いの入らないアンプの整備は気合も入らず、結果、仕上がりもいまいちです。coldsweats02

仕上がりがいまいちだと、整備した後も達成感が無いし、アンプにも申し訳ないんですよねぇ~。整備したアンプは世間一般的にも評価も高いアンプでしたし、実際素晴らしい音を聞かせてくれます。

でも、何故かB-Iほどの愛着が沸かなかったんです。

シンプルなその姿、しっかりとした造り、それにB-Iの整備のし易さというのも理由の1つかもしれませんが、やっぱりその音ですかね。

SITの音に初めて魅了されたのは30年近く前の学生時代。その音も忘れかけていたのを思い出させてくれて、更にはあまりの迫力に卒倒しそうになった10年ちょっと前のB-Iとの出会い。

それだけに強力にB-Iにハマってしまった訳なんですが、詳しい理由は以前ブログhttp://vfet.blog.bbiq.jp/blog/2007/08/index.html

に書いたとおりです。

恐らく、これからも当分は他のアンプをB-Iと同じような愛情をもって整備できる自信はありません。趣味のモノには思い入れが大事なんです。 思い入れがsign03

従って、今後も当分はB-I以外の半導体アンプには手を出さないと思ってます。

ただ、半導体オーディオアンプとジャンルの違うもの(球のアンプとか)には手を出していくと思います。

B-Iレストアの今後の最も大きな課題としては、整備用部品の確保でしょう。少なくともオリジナルの音を損なわない部品の選定が必要ですね。いろんなことを試してみたいと思います。

2sk182e

終段を2SK77以外のSITで実現したB-I (本文とは関係有りません)

では、次回はレストア日記に戻ります。