レストア日記2009 Feed

2010年1月31日 (日)

レストア日記2009 ドライバ用電源回路

この回路は、B-Iの中で一番故障が発生しやすい回路と言えるでしょう。wobbly

原因は、いろいろあるかと思います。高電圧を扱ってるのもその理由の一つですが、でも真空管アンプはもっと高い電圧を扱っているし...

一言で言えば、使用部品に対する条件が厳しいってことでしょうね。

要するに、「常時高温にさらされる」とか、「余裕を持った設計がされてない」とかでしょう。それから、当初使用された部品の信頼性が低かったってのも理由の一つかもしれません。現に、海外製トランジスタ(米国M社製)の故障率は非常に高いのです。それに引き換え後期に使用されている国産T社のトランジスタの信頼性の高さは特筆もので、ここ10年以上B-Ⅰを診てきて故障しているのを見たことがありません。

一部故障率の高い部品があると、それを引き金に他の部品も巻き添えになり、最悪は終段のFETまでもが道連れとなります。

私が最初に入手したB-Ⅰはこの基板上の抵抗の多くが真っ黒に焼損し、それはそれは酷い状態でした。1つの部品の故障による波及故障が極めて大きい回路でもあります。

また、一部の部品に対する熱的ストレスもかなり大きなものがあります。

皆さん、アレニウスの法則ってご存知ですか? 化学反応速度と温度の関係を示したものでスウェーデンの科学者アレニウスの名前を取ってそう呼ばれているそうです。

化学反応だけでなくて、半導体の劣化などにも適用されているようで、電子部品の寿命を調べるための加速試験でもこの法則を活用して短時間の試験で電子部品の寿命を計算したりします。

一部の部品は動作時には常に高温に晒されていますので、アレニウスの法則からすると、規定されている寿命よりかなり短くなってしまいます。

例えば、85度℃で寿命が2000時間のコンデンサがあったとします。2000時間は1日に1時間使用したとして約5.5年の寿命に相当します。使用環境が10度℃上がると、約半分の寿命になると言われていますので、2.7年程度の寿命coldsweats02になってしまいます。

もちろん、85度℃を上回っているかは分かりませんし、季節による温度環境変化もありますので、一概には言えませんが、温度が上昇するに従ってコンデンサだけでなく全ての部品の寿命を縮めてしまうということは事実punchです。

みなさんのB-Iの使用環境は如何ですか?

制振のためにボンネットの上に鉛を乗せたり、裏に貼ったりしてませんか?

ホコリが部品にこってり付着したりしてませんか?ホコリが付いていると夏に毛皮を着ているのと同じですよぉ。

オークションで入手したものは、以前どのような環境で使われていたかは知る由も有りません。今は元気でも寿命が近い部品がきっと沢山あるでしょう。

特にこの基板上の部品はどれも厳しい環境下で動作してきたものばかりですので、カーボン抵抗に至るまで、基本的に全数交換することにしました。ただ一部(2個の固定抵抗)については適当なパーツが無かったためそのままですが、誤差は0.3%程度で経年による抵抗値変化はありません。それと、この基板の中では比較的高温には晒されにくい部位ですし、素子本体が基板から離れており放熱面も良好ですので、当面は問題が発生することは無いと思います。

-200V調整用の半固定抵抗はサーメットタイプから巻線タイプのコパルλ-13S(製造中止)の新品にグレードアップしています。

この回路は、定電圧化された-200V電源を基準に+40Vが作られる設計になっています。

従って、規定値に収まった電圧が出ているはずですが、整備されていない多くのB-Iは規定値である+39.5V~+41.5Vの範囲内に入っていません。

-200Vを規定値にすると+40Vが範囲に入らないし、+40Vを範囲に入れると-200Vが範囲から外れてしまうという困った現象が起きます。B-Iを整備したことのある人でしたら分かると思います。

特に-200Vの調整がかなりクリティカルで更に許容範囲が狭く厳しいので+40Vが規定値に入りません。

放置すると大事なドライバ回路の電源電圧が規定どおりとならず、動作点が狂ってしまいます。

理由の詳細はレストアを生業とされている方の営業妨害となるためここでは説明しませんが、これは一部の部品の経年劣化が原因です。修理のためにはその部品を交換する必要があります。

当然このB-Iでも該当する部品を新品にしていますので、当分は安心して使用することができるでしょう。happy01good

では、部品交換後の基板の写真を以下に掲載します。一旦全ての部品を外し、基板表面を綺麗にしてから新しい部品shineを取り付けます。

200v40v

抵抗の熱で基板が変色している部分もあり、これ以上基板を劣化させるわけにはいきません。高熱を発する固定抵抗は基板から離して取り付けます。

更に、ケミコンの劣化と抵抗値変化を防止するため、高熱を発する固定抵抗の反対側に高熱の影響を受けやすいケミコンと抵抗を移して取り付けています。

ケミコンだけでなく、固定抵抗も移していますが、何故かお分かりですか?抵抗値の変化が電圧変化に直接影響を及ぼすためです。 オリジナルの抵抗は他と同じ酸金抵抗ですが少し特殊な抵抗で、温度変化による抵抗値変化が少ないものが使用されています。

写真ではトランジスタのアルミ放熱器やコンデンサを固定していませんが撮影の後に接着剤で固定しています。

200v40v_2

この基板の裏面ですが、当初はホコリがびっしり付いていました。特に高電圧(直流で300V以上)が掛かる部分で、これがホコリを吸い付けます。

もちろん、部品取り付け後にパターン面を洗浄し、コーティング剤を塗布します。

2010年1月25日 (月)

レストア日記2009 ±25V,+12V電源回路

B-Ⅰの電源は左右独立トランスです。

ドライバ用などの電源も良く考えられていて、1台のトランスの断線や内部のヒューズが断線しても重要な制御用の電源やバイアス電源が全て遮断されることなく供給される極めて合理的な設計になっています。トランスの外部に取り付けてあるヒューズが飛んでも同様です。

ただし、片側トランスの一次側が断線したり外部の5Aヒューズが飛べば当該チャンネルは音が鳴らなくなります。終段へは1台のトランスからの電源供給だからです。

従って、外部の1Aヒューズが1本飛んでも基本的に動作は継続します。但し、半波整流になりますので電源としての供給能力は落ちます。

さて、この回路ですが、トランジスタの不良が良く見られますね。ケミコンの容量抜けのケースよりトランジスタ不良のケースが多いくらいです。shock

不良となる可能性の高いトランジスタは大体絞られていますが、念のために全数新品に交換します。

ケミコンもこれからの安定動作を考えると全数交換が必要ですので交換します。

あと、+25V,-25V,+12Vの整流用ダイオードも過去の故障はありませんが交換しときましょう。

電圧調整用として、ALPS製のサーメットトリマーが使われています。調整面が上向きなので通常は大量にホコリやヨゴレが付いています。実際に接触不良もあったので交換が必須の部品でしょう。

以前、入手したB-Iを調査したところ電圧がだいぶ狂っていたので、念のためにサーメットトリマーの抵抗値を確認してみました。

10%以上も規格から外れているものがありました。wobbly 経年による変化なのでしょう。

調整すれば正常な電圧に戻るのですが、今後も長く使うことを考えると、信頼性の高い新品への交換が必須ですね。今回はコパルのサーメットトリマー抵抗(RJ-13)に交換しました。

また、この基板だけではないのですが、定数を決定する際にYAMAHAさんがいい加減な計算をしたのか計算ミスをしたのか、電力容量が不足している抵抗器が一部存在します。そのために他の抵抗器より劣化(抵抗値の変化)が早く進んでしまいます。 当然ながら交換しておきます。放置するとOverloadが動作して鳴らなくなります。

25v12v 

アルミの放熱フィンは一旦外し磨いた上で取り付けています。

25v12v_2 

次の写真は基板のパターン面です。他の基板と比べるとまだマシな方ですが、フラックスがかなり劣化し、ヨゴレも付いています。

25v12v_4

次の写真は基板パターン面の洗浄後です。洗浄してコーティングしています。大変綺麗で新品のようです。

25v12v_5

放置した場合、

水分を吸収したフラックスにホコリが付着することで絶縁が悪くなったり歪などが生じることで特性の悪化や、故障の原因となってしまいます。

30年経過した機器であることを念頭に整備をする必要があります。

下の写真はこの回路の交換した部品です。合計で68個の部品を新品にしています。

25v12v

2010年1月16日 (土)

レストア日記2009 入力基板、フィルタ回路

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

今年も例年通りスキーskiに行ってまいりました。仕事が忙しかったので先発隊として家族を先に行かせ、私は2日後にいつものスキー場に向かいました。今年は例年より若干短く、家族は8日間、私は6日間、仕事はすっかり忘れて雪山を堪能してきました。温泉も堪能し、いゃぁ~楽しかったぁ。 後日、雪山の写真を掲載しますね。up

では、早速レストア内容を紹介します。

B-Iの中でも壊れやすい度2~3位を争うのが、この入力基板です。えっ? 1位はって? その基板はまた別途ご紹介します。

B-Iが発売された70年代中期はゴツいRCAピンプラグは無く貧弱なものばかりでしたので問題は無かったのでしょうが、80年代に入るとピンプラグもケーブルも太く重たいものになっていきました。

B-Iの入力基板の構造上、ピンプラグなどの外部からのストレスが基板のパターンまで影響を与えてしまうようです。 その結果、この回路のパターン切れが多いのです。coldsweats02

今回は、予防保全も含めてパターンの補強も行いましたので、当面は問題なく使えるはずです。

入力のバイポーラコンデンサと2個のスライドスイッチは新品ですsign03 RCAジャックの接触部分も軽くバフ掛けしています。 あまり磨きすぎてはいけません。理由は?? お分かりですよね。

Photo

入力基板の裏です。一部切れているパターンがありました。切れやすい箇所は既に把握していますので、パターンに沿って切れやすい部分の補強をしています。「パターンに沿って」というのがミソです。パターンは考えて描かれているのです。

ハンダはしっかり盛ったし、ここまでやれば当面は切れることは無いでしょう。

Photo_2

次にランブルフィルタ回路です。

この基板での故障履歴は過去にはありませんが、フィルムコンの容量変化によるフィルタ特性の変化がありました。

交換部品は初段のFET、トランジスタ、ケミコン、フィルムコン、セラミックコン、抵抗の一部、リレーです。交換部品は全て中古ではなくてshine新品shineです。

初段は音への影響が大きいことから、YAMAHAのオリジナルFETであるYJ1200を2個ともshine新品shineにしています。

下の写真は、今回のB-Iに使用する4個のYJ1200です。YAMAHAのサービスでも10年位前に既に在庫は無くなっているし、新品を探すのには大変苦労しました。 従って大変貴重な石なのです。

Yj1200

フィルタ回路全体です。

Photo_4

松下製のガス入りリレーもディスコンのようで、既に新品の入手は困難です。

トランジスタは、オリジナルと同様2SC458のローノイズタイプである2SC458LG-Cの新品が入手できましたので使用しました。

ついでに一部のカーボン抵抗に被せてあるガラス繊維チューブも新品に交換しましたので基板全体が綺麗に見えます。

Yj1200_2

2SK75を使ったA級の出力回路に使用される抵抗については、定格を超えるような使い方はされていませんし、抵抗値も一応誤差範囲でしたが、電力消費が多いため交換しました。

オリジナルとは異なってしまいますが、同一メーカで1kΩの酸化金属抵抗が無かったため、低歪で定評のあるDALEの巻線抵抗RS-2Bを使用しています。自分のB-Iで試しましたが、大変素直で良い音だと思います。なお、オリジナルは2Wですがこれは3Wの容量があります。しかしこの抵抗は大変高価なのが難点です

Dale

フィルムコンは容量の変化はありませんでしたが、下の写真のとおり黒く変色していましたので交換します。

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フィルタ回路裏面です。フラックスの劣化に加え、吸湿したフラックスに埃がこびりつき大変汚い状態となっていましたので、フラックスを完全に除去し、防湿のためのコーティングを行います。

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入力基板とフィルタ回路の交換した部品は以下の通りです。白いチューブを除き合計36個です。全て新品に交換しています。

Photo_2

では、次回は+12Vの制御用と±25Vの電源回路の整備についてです。happy01

2009年12月28日 (月)

レストア日記2009 レストアの方針

更新を待っていた方々、すみません。

本業の方でバタバタしてましたらあっという間に1ヶ月が経ってしまいました。

今回のレストアの目標は、
(1)これからも長く安定して動作すること
(2)B-Ⅰ本来の音(オリジナル)を維持していること

この2点が重点目標です。

問題は、レストアのベースとなるB-Ⅰです。オリジナルを維持ということであれば、できれば塗装はしたくないので、比較的綺麗なB-Ⅰをベースにしたいと思います。

幸か不幸か、家族から「めちゃくちゃ邪魔、重たすぎ~、足に引っ掛かってケガしそう」などと邪魔者扱いされていた不動のB-Ⅰで、比較的状態が良いB-Ⅰがありますので、それをベースとします。写真を貼り付けておきます。

Dsc01593

このB-Ⅰ、シリアル番号が1300番台の比較的初期型で、背面にコンセントのあるタイプです。
この初期タイプは、2000番台以降のものに比べて本体内部で電源ケーブルとヒューズホルダーが入力回路から離れているためSN比的にも有利ですね。

30年経過している割には状態は良いと思います。シリアル1300番台で、この状態のものを見つけるのは、なかなか難しいと思います。

さて、上記の(1)と(2)を達成するための方針を以下に記載します。

one全てのケミコンを交換します。
B-Ⅰは製造から30年以上経過しています。一部を除き大部分のケミコンは容量抜けとかはありませんが、、ケミコンは生ものですので、全てのケミコンを交換します。
終段用の大きなブロックケミコンは同一の代替え品がありませんが、ここ数年の経験では、リークのあるものが非常に多かったため、交換することとします。
幸い、オリジナルと同じメーカーで100V15000μFのものを見つけました。しかし、そのままでは使えませんので、ケミコンユニットを自作したいと思います。
これまでも幾つかこのユニットを作りました。今回作成したものはその最新バージョンとなります。
この大型ケミコンを交換していないB-Iは、間違いなく数年内にプロテクトが動作して鳴らなくなると思われます。それもプロテクトがきちんと動作すればの話です。

twoバイポーラトランジスタも劣化しますので全て交換します。
B-Ⅰでは、信号経路にはバイポーラトランジスタは入っていませんが、信号経路に入ったFETに対して適切なバイアスを与えたり、電源、回路制御に使用されています。
従って、バイポーラトランジスタが正常に動作しなければ正しい動作点でFETを動作させることは出来ません。
これまでの整備の経験上、ケミコンより、バイポーラトランジスタの劣化率が高いようです。外観では全く分かりませんが、増幅率低下、ノイズ発生など、劣化が生じてきているものはとても多いのです。
なお、バイポーラトランジスタは極力同一の型番を使用しますが、大部分が廃品種となっています。無いものは同一のメーカの後継品種を使用します。
(オリジナルの音を守るには同一半導体メーカであることが大事だと思っています。恐らく、電気的特性より、メーカ毎の半導体製造プロセスが音に与える影響が大きいためなのでしょう)

B-Ⅰをレストアし始めた10年以上前にYAMAHAから直接購入したもの、海外から購入したもの、B-Ⅰを通じて知り合った方から分けていただいたもの、国内で探し回ったもの 等々、貴重なオリジナル型番のトランジスタを極力使用していますので、相当なコストがかっています。ただし、一部の壊れやすいトランジスタは国産の丈夫なトランジスタに変更しています。これはYAMAHAに修理に出した場合も同じ処置が採られています。
B-Ⅰ本体のみで交換するトランジスタ数は100個以上あると思います。

threeYAMAHAオリジナルのFETはそのまま使用します。
本当はバイポーラトランジスタと同様、新品に交換した方がいいんでしょう。しかし、新品の入手はできません。代替のトランジスタも一部にはありますが音が変ってしまう可能性もあります。YAMAHAオリジナルFETは全て信号経路に入っていますので、代替品は使用しないことにします。
ただし、ランブルフィルタ付きゼロゲインアンプの初段、およびドライバ回路の初段のFET(YJ1200)を交換します。
市場に出回っていない大変貴重なYJ1200の新品(合計4個)です。今回の整備の目玉ですネ

その他は、オリジナルのFETを継続して大事に使用したいと思います。

four接点のあるものは新品への交換または磨きます。
半固定抵抗は信頼のおけるメーカの、新品に交換します。オリジナルであるALPS製のサーメットトリマーは経年により、しばしば接触不良になることが過去にも沢山経験しています。また、抵抗値が変わってしまっているものも非常に多いです。
劣化したリレーやスイッチの接点は磨いたりせず、新品に交換するのが基本だと思います。リレーや背面のスイッチも入手困難ですが、全て貴重な新品に交換します。
2SK77ユニット等のコネクタ接点は軽く磨きます。磨きすぎはいけません。

five基板の半田付けを再半田付けします。
特に高温になる部分は劣化により半田の割れが必ず発生します。そのまま放置すると音が鳴らなくなるだけでなく、貴重なFETを壊す可能性もあります。
とても面倒で時間のかかる作業ですが、上記の理由により再度半田付けをします。

six劣化した放熱グリスは塗布し直します。
終段の2SK77は劣化したシリコングリスを拭き取り、放熱面を磨いた後に再度最新のシリコングリスを塗って取り付けます。他のトランジスタは新品に交換しますので新しいシリコングリスを塗って取り付けます。

seven十分な調整を行います。
B-Ⅰの調整には歪率の低い発振器、歪率計が必要です。歪率を最良のポイントにするには根気強く調整する必要があります。また、電源電圧変動に対してバイアスを自動安定化させる回路が装備されてますのでスライダックも必要です。
これらによって規定の値に時間を掛けて調整します。もちろん、フルパワー150Wでの連続動作試験も行います。

eightその他
・ケーブルや内部配線は交換していません。全てオリジナルのままです。
・埃や汚れ等は可能な限り清掃します。
・これまで、何台ものB-Ⅰを見てきましたが、基板裏面に埃等がかなり付着しているケースがとても多いです。長く使うと水分を吸収し回路にも悪影響を与えます。したがって、この際、基板裏面のフラックスを綺麗に除去し、絶縁コーティング剤を塗布しておきます。

 では、次回からは具体的な整備状況を紹介していきたいと思います。

2009年11月20日 (金)

レストア日記2009 連載開始♪

すっかり遅くなってしまいましたが、8月にお知らせしていたB-Iのレストア日記を「レストア日記2009」として開始したいと思います。

B-Ⅰは1974年の発売開始から既に35年が経過していますので、もう立派なビンテージオーディオ機器ですね。

他の35年経過したフツーのアンプと決定的に違うのは、日本の半導体アンプ史上、極めて大きな足跡を残したアンプだということでしょう。その証拠に国立科学博物館の産業遺産データベースにも登録されています。そのデータベースには、「それまでパワー増幅半導体素子としてトランジスタ位しか無かった時代に新しいパワー素子がオーディオ用として開発された事は画期的な事であった」と掲載されています。

このパワー増幅素子は前回記事で紹介した2SK77というSIT(ソニーはV-FETと称していました)で、通常のメタルキャン型パワートランジスタを2回り位も大型にした、3極管と似たような特性(不飽和特性など)を持つ素子です。ドレイン損失は200Wsign03もあります。

終段用素子だけでなく、ドライバ用中電力用素子や小信号増幅用のSITもほぼ同時にB-Ⅰのために開発されています。更には、回路までも新しい発想により開発された対称型回路です。

発売から35年も経過しますので、最近は正常に動作するB-Ⅰはますます少なくなり、このままでは本当に産業遺産としてデータベース上だけのものとなってしまうことは時間の問題です。(危機感coldsweats02

同時期にSONYからもSITを使用したアンプが発売されていますが、N型とP型のコンプリメンタリによる回路で、2~3組を並列に接続された構成です。

一方B-Ⅰは、N型のみのシングルエンドプッシュプル構成で150Wが得られる構成でペア取りも容易で、損失不足を補うためのパラ接続もされていないのでFETの並列接続による問題も回避できます。

ここ1~2年でB-Ⅰを2~3台、オリジナルを損なわない範囲で徹底的に新しい部品に交換してきました。

特に、夏まで連載の「お預かり日記」では、終段ケミコンとYAMAHAオリジナルの初段FETの交換により古くなったB-Ⅰを復活させたことをご紹介しましたが、B-Ⅰ発売当時の本来の音が蘇ったと言えるほど十分な効果が確認できたので、今回もそれを踏襲したいと思います。

次回は、改めてレストアの方針を整理して記載したいと思います。happy01