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2009年12月

2009年12月28日 (月)

レストア日記2009 レストアの方針

更新を待っていた方々、すみません。

本業の方でバタバタしてましたらあっという間に1ヶ月が経ってしまいました。

今回のレストアの目標は、
(1)これからも長く安定して動作すること
(2)B-Ⅰ本来の音(オリジナル)を維持していること

この2点が重点目標です。

問題は、レストアのベースとなるB-Ⅰです。オリジナルを維持ということであれば、できれば塗装はしたくないので、比較的綺麗なB-Ⅰをベースにしたいと思います。

幸か不幸か、家族から「めちゃくちゃ邪魔、重たすぎ~、足に引っ掛かってケガしそう」などと邪魔者扱いされていた不動のB-Ⅰで、比較的状態が良いB-Ⅰがありますので、それをベースとします。写真を貼り付けておきます。

Dsc01593

このB-Ⅰ、シリアル番号が1300番台の比較的初期型で、背面にコンセントのあるタイプです。
この初期タイプは、2000番台以降のものに比べて本体内部で電源ケーブルとヒューズホルダーが入力回路から離れているためSN比的にも有利ですね。

30年経過している割には状態は良いと思います。シリアル1300番台で、この状態のものを見つけるのは、なかなか難しいと思います。

さて、上記の(1)と(2)を達成するための方針を以下に記載します。

one全てのケミコンを交換します。
B-Ⅰは製造から30年以上経過しています。一部を除き大部分のケミコンは容量抜けとかはありませんが、、ケミコンは生ものですので、全てのケミコンを交換します。
終段用の大きなブロックケミコンは同一の代替え品がありませんが、ここ数年の経験では、リークのあるものが非常に多かったため、交換することとします。
幸い、オリジナルと同じメーカーで100V15000μFのものを見つけました。しかし、そのままでは使えませんので、ケミコンユニットを自作したいと思います。
これまでも幾つかこのユニットを作りました。今回作成したものはその最新バージョンとなります。
この大型ケミコンを交換していないB-Iは、間違いなく数年内にプロテクトが動作して鳴らなくなると思われます。それもプロテクトがきちんと動作すればの話です。

twoバイポーラトランジスタも劣化しますので全て交換します。
B-Ⅰでは、信号経路にはバイポーラトランジスタは入っていませんが、信号経路に入ったFETに対して適切なバイアスを与えたり、電源、回路制御に使用されています。
従って、バイポーラトランジスタが正常に動作しなければ正しい動作点でFETを動作させることは出来ません。
これまでの整備の経験上、ケミコンより、バイポーラトランジスタの劣化率が高いようです。外観では全く分かりませんが、増幅率低下、ノイズ発生など、劣化が生じてきているものはとても多いのです。
なお、バイポーラトランジスタは極力同一の型番を使用しますが、大部分が廃品種となっています。無いものは同一のメーカの後継品種を使用します。
(オリジナルの音を守るには同一半導体メーカであることが大事だと思っています。恐らく、電気的特性より、メーカ毎の半導体製造プロセスが音に与える影響が大きいためなのでしょう)

B-Ⅰをレストアし始めた10年以上前にYAMAHAから直接購入したもの、海外から購入したもの、B-Ⅰを通じて知り合った方から分けていただいたもの、国内で探し回ったもの 等々、貴重なオリジナル型番のトランジスタを極力使用していますので、相当なコストがかっています。ただし、一部の壊れやすいトランジスタは国産の丈夫なトランジスタに変更しています。これはYAMAHAに修理に出した場合も同じ処置が採られています。
B-Ⅰ本体のみで交換するトランジスタ数は100個以上あると思います。

threeYAMAHAオリジナルのFETはそのまま使用します。
本当はバイポーラトランジスタと同様、新品に交換した方がいいんでしょう。しかし、新品の入手はできません。代替のトランジスタも一部にはありますが音が変ってしまう可能性もあります。YAMAHAオリジナルFETは全て信号経路に入っていますので、代替品は使用しないことにします。
ただし、ランブルフィルタ付きゼロゲインアンプの初段、およびドライバ回路の初段のFET(YJ1200)を交換します。
市場に出回っていない大変貴重なYJ1200の新品(合計4個)です。今回の整備の目玉ですネ

その他は、オリジナルのFETを継続して大事に使用したいと思います。

four接点のあるものは新品への交換または磨きます。
半固定抵抗は信頼のおけるメーカの、新品に交換します。オリジナルであるALPS製のサーメットトリマーは経年により、しばしば接触不良になることが過去にも沢山経験しています。また、抵抗値が変わってしまっているものも非常に多いです。
劣化したリレーやスイッチの接点は磨いたりせず、新品に交換するのが基本だと思います。リレーや背面のスイッチも入手困難ですが、全て貴重な新品に交換します。
2SK77ユニット等のコネクタ接点は軽く磨きます。磨きすぎはいけません。

five基板の半田付けを再半田付けします。
特に高温になる部分は劣化により半田の割れが必ず発生します。そのまま放置すると音が鳴らなくなるだけでなく、貴重なFETを壊す可能性もあります。
とても面倒で時間のかかる作業ですが、上記の理由により再度半田付けをします。

six劣化した放熱グリスは塗布し直します。
終段の2SK77は劣化したシリコングリスを拭き取り、放熱面を磨いた後に再度最新のシリコングリスを塗って取り付けます。他のトランジスタは新品に交換しますので新しいシリコングリスを塗って取り付けます。

seven十分な調整を行います。
B-Ⅰの調整には歪率の低い発振器、歪率計が必要です。歪率を最良のポイントにするには根気強く調整する必要があります。また、電源電圧変動に対してバイアスを自動安定化させる回路が装備されてますのでスライダックも必要です。
これらによって規定の値に時間を掛けて調整します。もちろん、フルパワー150Wでの連続動作試験も行います。

eightその他
・ケーブルや内部配線は交換していません。全てオリジナルのままです。
・埃や汚れ等は可能な限り清掃します。
・これまで、何台ものB-Ⅰを見てきましたが、基板裏面に埃等がかなり付着しているケースがとても多いです。長く使うと水分を吸収し回路にも悪影響を与えます。したがって、この際、基板裏面のフラックスを綺麗に除去し、絶縁コーティング剤を塗布しておきます。

 では、次回からは具体的な整備状況を紹介していきたいと思います。