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2009年8月

2009年8月29日 (土)

B-I お預かり日記8 基本に立ち返って

さっそく、本題に入ります。

YJ-1200を交換したことで図らずも高出力域の歪率をだいぶ改善することができましたが、低出力域はほとんど改善していません。

他に原因があるということです。

基本に立ち返って、配線の引き回しを中心に改造されている部分を確認してみます。

重たいB-Iを後ろに前にしたり、ひっくり返したりして、怪しそうなところを目視eyeで確認していきます。

歪率を測定しながら、背面に手を近づけたり遠ざけたりしたところ、歪率が大幅に変化するではありませんかっ!up いわゆるボディエフェクトです。

入力の両極性電解コンデンサをフィルムコンに替えてあるのですが、どうやらこのあたりが怪しそうbomb なことが分かりました。

ただ、それだけでは歪率悪化の原因は分かりません。

そうそう、歪の波形を見てみよう。

オーディオアナライザのモニタ出力にオシロを接続し、歪率測定モードにすると歪波形を見ることができます。

ところどころ、波形が高くなっている部分があり、その周期は電源周波数と一致するようです。pout

どうやら電源ノイズが重畳しているようですね。wobbly

このフィルムコンは大きいため、基板には乗せることができず、大きくはみ出して空いているスペースに収めてあります。coldsweats02 (下の写真)

       Dsc07423

フィルムコンのすぐそばには電源用ヒューズがあります。間隔は空いておらず、電源ヒューズケースにフィルムコンの外皮が接触しています。 この接触による静電容量による結合、および電源ケーブルからの電磁誘導は避けられないでしょう。

ということは、この配置が原因のようです。flair

このフィルムコンを何とか基板近くに持って来れないか考えましたが、相当無理があるようです。

ちょっとこれは余談ですが、同じB-Iでも

sun電源ヒューズが入力基板から遠いタイプ (背面にコンセントがある前期型

cloud電源ヒューズが入力基板から近いタイプ (背面にコンセントが無い後期型

があります。

今回の経験からすると、電源からの悪影響に関しては前期型B-Iの方が有利なのかもしれませんね。

歪率悪化の原因は分かったのですが、またまた問題が.....    さてどうしよう。

続きは次回のお楽しみということで。

2009年8月25日 (火)

B-I お預かり日記7 ビンゴ!しかし...

歪率が悪い原因はいろいろと考えられます。eye

まず、回路構成など、もともとあったものに起因する歪は除いて考えると、

one 改造による歪率の悪化

two 素子の経年による歪率悪化

などが考えられます。

トランジスタと受動素子の殆どが交換されてますので素子の経年による悪化は考えにくいですが、信号経路にあるFETはオリジナルのままです。

ん、、、shineflairshine

歪率に影響を与えやすい初段FETの劣化ってのは考えられるなぁ。

ラッキーにも新品が丁度入手できたので、いっちょ、試してみっか。good

ってことで、YJ-1200を新品に交換することとしました。heart01

本当は、素子を替える前にもっと疑うべき箇所は沢山ありますが、このFETを入手できた喜びが優先順位をめちゃくちゃにしてくれました。wobbly

折角なので4個全てのYJ-1200を交換しました。

(本当だったら、1個1個交換して歪の発生箇所を切り分けて行くべきですが...)

           Dsc07375_2_2 upwardleftぴかぴかのYJ-1200

で、交換の結果ですが、特に悪かった高出力域の歪率が大きく改善しました。(下のグラフ)

         2566 

上記のグラフは左チャンネルでしたが、右チャンネルも同様の傾向を示しました。

とすると、YJ-1200の経年劣化は高出力域の特性に現れるのかもしれません。

ただし、これはB-IでのYJ-1200の動作条件下であり、全ての動作条件でそうなるというわけではありません。

流しているドレイン電流、初段で稼いでいる利得、負帰還などのいろんな条件によって変わるはずです。

本機では高出力域で歪率が悪化してるので、大振幅動作時に歪率が悪化するということでしょう。 大振幅時にFETの非線形部分に波形がかかっているのかもしれません。

いずれにせよ、YJ-1200の交換はビンゴだったことは間違いないようです。happy01

なお、上記の特性は10kHzの値です。これまで整備した他のB-Iでも同様でしたが、この周波数域がB-Iでは最も悪い値が出るようです。

さて、一番の問題は0.1%近くも歪率がある、低出力域です。

では、次回はこの低出力域の歪率改善です。

お楽しみに。happy01

2009年8月20日 (木)

テスターの修理

まず最初に、先日「お知らせ」で掲載したB-Iのレストアに使用予定のYJ-1200と電源用ブロックケミコンの写真をアップしておきましたので、ご覧くださいね。happy01

では、本題です。

いつも愛用しているテスターなんですが、それが壊れてしまいました。

もう20年近くも使っているFET入力型のEM-01というSANWAのアナログテスターです。

とても使いやすくて気に入っていたのですが。。。。

実は2年程前に壊れて、EM-7000という新しいアナログテスターを購入したので放置してました。このEM-7000も良いテスターなんですが、EM-01と比べるとメーターの指示収束がちょっと遅いのと、少し大きいのが難点です。

壊れ方は、

  • メーターが振れない
  • 常にマイナスに振れている。

といった状況です。以下の写真のとおりです。(常にこの表示)

Dsc07484

最近、気が向いたのでEM-01のどこが壊れているかを見てみました。

他のテスタでメータアンプの出力を見ると、その部分から既に出力がおかしいです。weep

念のために電源(電池)からの電圧を基板上で見ると、あれれっ、これもおかしい。bearing

電池の電圧を直接電池の端子でみてみましたが、これは異常なしsign01

ということは、

電池からの配線がどこかで切れてるってことです。flair

Dsc07489

やっぱり切れてました。sign01 

原因は、基板に直接乾電池を取り付けてあるので、乾電池の振動が直接太い電線が伝わって、パターンが切れたようです。

他のパターンも切れるかもしれませんので、全て補修して修理完了です。happy01

ちなみに、故障してから2年近くも最初のようなメータの振れのままでした。異常に電池の持ちが良い理由は使用しているOP-AMPにあるようです。

使用されているOP-AMPは、フェアチャイルド社製のμA776という超低消費電力のOP-AMPです。

このアナログテスタは使いやすくて気に入っているので、予備の石を探し回ってようやく見つけたので買っておきました。ネットで探しても無かったので諦めてたのですが、秋葉原の某店のみにありました。(メータの方が先に壊れる可能性が高いとは思われますが....)

Dsc07488

以下は、μA776のデータシートです。

このデータシートは、フェアチャイルド社のLINEAR OP-AMPのデータばかりを集めた英語版で、25年ほど前の学生時代の実習で三鷹市にある某業務用無線通信機メーカ(○本無線)に行った時に不用品として頂いたもので、今も活用してます。

Dsc07487_2

70年代の規格表や雑誌は、オーディオ全盛期の機器をレストアするのに大変役に立ちます。

そう言えば、一木吉典氏著の「全日本真空管マニュアル」の75年?版を持ってるのですが、古くてボロボロなので状態の良いものをオークションで購入しようと思ったら、あまりの高値で諦めてしまいました。ニーズがとっても多いんでしょうね。

では、次回は本題に戻りましょう。

2009年8月14日 (金)

B-I お預かり日記6 手ごわい不調

これで、不調の原因は全て取り除き、予防保全も行いました。happy01

さてと、いつもどおり調整に取り掛かります。

全ての電源電圧が規定どおりとなっているか確認してドライバ基板を実装し、バイアス電圧が正常に制御できることを確認します。

よし、スムーズに調整できるようです。scissors

2SK77ユニットを実装してバイアス電流、その他を規定値に調整します。

ナショナル製のオーディオアナライザVP-2200、オシロスコープ等の測定器類は予め電源を入れてましたので、すぐに測定に取り掛かれます。(電源直後は測定器が安定していないため測定できません)

歪率はどの程度でしょうか?とても興味があります。note

測定は、0.1W~150Wまでの範囲の13の出力ポイントで測定します。測定周波数は、100Hz、1kHz、10kHz、20kHzの4種類です。

私の場合は、いつも測定時の負荷は6Ωの純抵抗負荷としています。

インピーダンスが6Ωのスピーカが割と多いことと、8Ωより6Ωの方がアンプにとって厳しい条件と言えるからです。

それにスピーカのインピーダンスは周波数で大小に大きく変動しますので、厳しい条件での測定の方が良いのではと考えました。

出力値の確認方法は、普通のFET入力型のテスタです。

正弦波をアンプに入力し、150Wの電力を擬似の抵抗負荷に消費させている状態では、この負荷の両端には実効値で30Vの交流電圧が生じることとなります。(「実効値」の意味はググッて下さい) その実効値を測定することで出力電力を測定します。

さて、お預かりしたB-Iの測定です。

測定の前にバイアスを正常に調整し、交流バランスも調整します。何度も調整を繰り返さなければならない根気の入る作業なのです。

で、その結果です。

残念ながら、思ったよりかなり悪い値となりました。これまでに無い値です。crying

過去の例では、多くのB-Iが10kHzの測定値が悪く、1kHzでの測定値が良いのですが、このB-Iでは、それ以前の問題。

全ての周波数帯で特に低出力域と高出力域が悪いのです。

例えば、0.02Wでは0.09%、150Wでは0.105%といった具合です。一番良い1Wの値でも0.023%で、もう一桁低い歪率となってほしいものです。bearing

B-Iの仕様では最大0.06%とされていますので、それをも上回る悪い値です。shock

何が原因かさっぱり分かりません。

調整が悪いのか、以前経験したようなミスによるものなのか.....

CRの値のミスによる位相補償値の変化かと思ってCR類をチェックしてみますが、問題なさそうです。crying

ん~~。

わからないので、とりあえずいろいろと考えてみることにしますが、歪率の改善は相当困難で手ごわい問題です。

考えられる部分から手をつけていかざるを得ないですねcoldsweats02

次回以降は、歪率の改善策を紹介します。(改善策は数点ほどありますので数回に分けてご紹介します)

2009年8月12日 (水)

お知らせ!

「B-Iお預かり日記」を掲載中ですが、このB-Iの修理・レストアは今年の6月に完了しました。

現在、お友達の手元で快調に素晴らしい音を奏でてくれているそうです。とても、うれしいですね。

このレストアの完了後、以前入手しておいた手持ちのB-Iを整備中です。それも今後できるだけ長く使えるよう、かなり徹底的にやってます。scissors

従って、電解コンデンサだけでなく、このブログの過去記事で説明していますとおり、バイポーラトランジスタの不良も非常に多いので、オリジナルと同じ型番の新品にこだわって交換しています。lovely

その他、問題のある抵抗器の交換、全リレーを新品に交換、入力スイッチを新品に交換、などなど。更に基板上の半田付けも再度行っています。

しかし、家の中のスペースの問題もありますので、

このB-Iのレストアが完了し、満足行く音が出るようにになりましたら久しぶりにオークションに出品しようかと考えております。sign03

目玉は、

one 初段のFET、「YJ-1200」4個全てをshineYAMAHAオリジナル新品shineへ交換 

            Dsc07533

および

two 電源用の大きいブロックケミコンを同一メーカのshine新品ケミコンshineへ交換

            Dsc07569_2 

です。過去のB-Iの出品ではこれらを新品にされているケースは無かったと思います。

交換部品点数は恐らく300点~400点になろうかと思います。部品交換後は、基板の洗浄とパターン面のコーティングを施しています。

それと、出品に際しては、周波数特性、ひずみ率特性、S/Nを測定の上で、一定時間の定格出力(150W)試験を実施予定です。測定したチャートはB-Iと一緒にお送りする予定です。

出品の時期ですが、

完成後のエージングと部品の初期不良のあぶり出し期間も必要ですので、早くても10月以降になると思います。

詳細は、時期を見て本ブログで紹介したいと思います。

期待して待っててくださいネsign03

2009年8月 9日 (日)

B-I お預かり日記5 予防保全

お預かりしたB-Iは、最初に紹介したとおり、基板上の殆どのCR類が新品に交換されています。

しかし、電源の大きなケミコンは交換されていません。

以前このブログでも紹介していたとおり、B-Iのこのケミコンの劣化が最近非常に多く、若干リークしているものも含めると正常なものは無いと言っても過言ではないと思います。

オークションで「動作品」として出品されているものも、動作しなくなるのは時間の問題ではないでしょうか? 高額落札されている方も覚悟が必要と思います。YAMAHAにも部品はありません。

いまブログで紹介しているお友達のB-Iの後に整備したB-Iの大きなケミコンもすぐに放電してしまうくらいにリークが発生していました。

お友達には、交換することを勧め、交換することとなりました。

もちろん代替えの同等ケミコンは無いので、4月26日にこのブログで紹介した新品のケミコンを使用して製作したケミコンユニットをこのB-Iに実装します。http://vfet.blog.bbiq.jp/blog/2009/04/post-1ee0.html

ご本人から希望があったフィルムコンも一緒に抱かせてます。以前作成したケミコンユニットより信頼性が高いし、使用したケミコンはなんといってもオリジナルと同じメーカです。

下の写真はB-Iにこのケミコンユニットを実装した様子で、ちゃんと問題なく取り付けできます。

ケミコンも基板には接着剤で固定し、ケミコン同士も接着剤でしっかり固定していますので鳴きは全くありません。

もちろん、B-I本体には全く加工はしてませんし、無理な配線も一切ありません。

Dsc07413 

下の写真は裏面から撮ったものです。茶色いのはケミコンユニットの台になる厚手のしっかりしたベーク板です。ベークは比較的柔らかく、振動の吸収効果もあると思い採用しました。

Dsc07422

このケミコンは100V、15000μFと同じ容量ですが、技術の進歩により常温ではオリジナルよりリプル電流の特性が非常に良好です。オリジナルの約1.5倍はあります。sign03 

電極の進化などもあると思いますが、このケミコンは5端子なんです。1端子は無接続ですので実質4端子です。リプル電流が沢山流せるのもそのあたりの理由もあるのでしょうね。

当然ながら、充放電時の電流もオリジナルより流れるでしょうから、整流用ブリッジダイオードの容量も検討が必要かも。gawk

それに過去30年くらい常時大電流を整流してきたわけで、その劣化も十分考えられます。

見てみると、整流用ブリッジダイオードは35Aのものにアップグレードされており、容量も丁度良いと思いますので、このまま使用したいと思います。

その他、電源リレー制御用の部品が交換されていなかったので交換しました。

さ、これでほぼ健全な状態になったと思われます。happy01