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2008年1月

2008年1月28日 (月)

B−I新レストア日記15 嫁ぐ日


とうとう手塩に掛けたB-Iを送り出す日が来ました。

最後に、プラグを磨きます。これって案外見落としがちなんです。(私だけか!)

良く見ると汚れがかなりついていましたので、ぴかぴかに磨いてあげました。

エージングもかなり進んできました。正月明けの週末、集合住宅なので階下等に迷惑をかけるとマズイので昼間の在宅中に大音量でのヒアリングをしました。透明感のある艶やかな音ですが、大変迫力のある凄まじい低音も良いです。かなり音量を上げても音像がバシッと定位しているというか、ブレが全くありません。

B−Iは8Ω負荷に対して150Wの出力を供給することができます。通常はトランジスタ2〜3パラでこの出力を実現させることが多いのですが、B−Iの場合はシングルプッシュプルで実現しています。それも極性の異なる素子によるコンプリメンタリ型でのプッシュプルではなくて、同極性素子によるシングルエンドプッシュプル出力です。2〜3パラでの動作だと、どんなに選別しても微妙に特性の異なる(=動作点の異なる)トランジスタを並列動作させざるを得ません。B−Iはそれがありません。当時、YAMAHAの星氏も「自信を持って2個の素子の特性を合わせられる」とおっしゃってます。
また、同じNチャネルのFETによるシングルエンドプッシュプル出力で、完全対称型アンプ(注)と言えます。某K氏の完全対称型アンプは10数年前に発表されましたが、B−Iは何と30年以上前から完全対称型です。開発したYAMAHAの技術陣には脱帽ですねsign01
おまけに2SK77の素子自体が大変低出力インピーダンスでスピーカのインピーダンスより低いという最大の利点を持っています。これは飽和特性を持つバイポーラトランジスタには絶対に真似のできないことなのです。大出力でもバシッとした音像の定位感などはそれからくるのでしょうね。smilesmile

注:
素子の微妙な特性差があること、バランス入力ではないことから、「完全」と言う単語を使用するのは適切では無いかもしれませんが、アンプの基本構成としては「完全対称型」と言えると思います。

ところで、梱包する様子の写真を撮るのを忘れてしまいました。coldsweats02
ゴメンナサイ

とにかく重くて重くて。写真のことなんか完全にすっ飛んでしまったのであります。ハイ。

お譲りする方には、測定した周波数特性、歪率特性をプリントし同梱して送り出しました。(ブログで写真を公開していますよね。アレです。)

ちなみに、いつもお世話になっている方への譲渡ですので、入手した価格15万円に部品代と、本体および部品入手時の輸送代等のみを合計して20万円台半ばでお譲りしました。

ちゃんと到着するのを祈ります。

2008年1月25日 (金)

B−I新レストア日記14 UC−I整備

当初、オクに出品するのであればUC-Iは現状渡しのつもりだったのですが、いつもお世話になっている方へ嫁ぐことになりましたので、UC-Iの全IC、全トランジスタ、全コンデンサの交換・調整も行うことにしました。使用されているICはもう売っているところが殆ど無い貴重なものです。トランジスタも同様デス。


このUC-Iだけで、ICを2個、トランジスタを31個が新品になりました。B-Iと合計すると140個以上のトランジスタが新品になったことになります。



提供するUC-Iですが、調べてみると若干、無音状態で針が振れています。ICとトランジスタを新品に交換すれば正常に戻ってくれるでしょう。

ちょっと分かりにくいですが、新品の部品へ交換後の写真です。再半田付けも行っています。


全ての部品の交換後、メータを調整します。UC-Iは3つのポイントで調整するようになっています。-20dB、-10dB、2dBそれぞれの出力時で調整します。なお、このメータでは0dB=100W(8ohm)となっています。従って、-20dBは1W、-10dBは10W、ですね。2dBは150Wではなくて、おおよそ160Wくらいになります。基準は手持ちのテスタでのAC電圧測定値です。出力電力は負荷抵抗の値と負荷抵抗の両端に発生するAC電圧から求めます。
テスタではレンジを変えないと150Wまでは読み取れませんが、このメータでは微小レベルから大電力まで読み取れるように、回路には対数アンプが実装されています。

このメータ調整もなかなか難しく、結構時間がかかりますので粘り強く調整する必要が
あります。

調整が済んだらゆっくり音楽でも聴きます。ほの暗い電球の照明の中で動くメータの雰囲気が良いですねlovely 
至福のひとときです。heartheart

そういえば、無音状態でも針が振れませんsign01恐らく交換する前のトランジスタの劣化によるノイズの発生でしょう。smile 交換してよかった。heart

2008年1月23日 (水)

B−I新レストア日記13 あちゃ〜、不調!

今回のレストアには何と8月〜11月の約4ヶ月も要してしまいました。一時期、体調不良で整備できなかった時期があったので、正味3ヶ月程度を要したことになります。coldsweats02

これ以上、新品のオリジナル部品を使用してのレストアは、部品の入手が困難なため今後は非常に難しいでしょう。後は全ての抵抗や配線、それにYAMAHAの石をオリジナル新品にするくらいですが、新品のYAMAHAの石の使用はもう完全に無理です。

フロントパネルをはじめ、全体を清掃しました。とてもキレイです。lovely
この状態でエージングを兼ねたヒアリングをすると気持ちの良いものです。ますますキレイにしたくなってきます。smile


リレー5個はオリジナルと同じオムロンLY2型DC12Vです。このリレーはランブルフィルタ回路に使用されている密閉型不活性ガス入りとは違い、密閉されてませんので、接点の酸化が起こります。
従って、30年間使用したLY2型リレーは接点が酸化して接触抵抗が間違いなく高くなっていますので交換が必要です。幸い、今でも入手可能で、半田付け不要なので交換も簡単ですよ。


調整して11月中旬から慣らし運転に取り掛かりました。数日間は特に問題無く動作してたのですが、音だし開始から1週間後位にちょっとした問題が発生しました。スピーカリレーが動作しないのです。後から振り返ると「ちょっとした」ですが、発生時は大問題なのです!
いったいB-Iの回路中で何が起きているのか....自分が整備した部分なのか、手を加えていない部分なのか....

どのような動作をしているのか分からないので、coldsweats02
とりあえず安全のために2SK77を外してダミーを入れます。
いろいろとチェックしてみると、どうやら終段への電源供給制御回路が上手く動作していないようです。shockshock

原因を追究していくと、バイアス電圧検出回路の定数が変わってしまい、トランジスタが完全に ONせず、アナログ的な動作(いわゆる飽和領域での動作ではなくて線形部分での動作)となっていることが判明したのです。

不良となった部品(固定抵抗器)を交換し、正常に戻すことができました。sign01smile

今回長い間このB-Iをレストアしてきましたが、製造から30年という年月を決して甘く見てはいけないというのが教訓として得られたような気がします。その一例が上記の固定抵抗器の劣化(抵抗値の変化)です。完全に断線とかショートであれば判りやすいのですが、今回のように抵抗値が微妙に変わっている場合はトラブルシューティングにとても時間を要してしまいます。(以前、進工業製の固定抵抗のリード外れが発生した時は比較的分かり易すかったのですが...)


今回は電解コンデンサの100%、バイポーラトランジスタの100%、その他長持ちさせるための整備をいろいろと沢山やったのですが、できれば固定抵抗器も100%交換したほうがいいのかもしれません。shock

もうこうなると、電解コンよりは信用していた固定抵抗の全てを疑ってみたくなります。それも、そもそも使用されている抵抗の定格電力も本当に適切なのかと。

YAMAHAが選定しているオリジナルの抵抗器の定数が本当に間違っていないのか一部計算してみたところ、固定抵抗のW数と実際の損失の間のマージンが非常に小さい箇所があることが分かりました。その部分は今回のレストアでW数に余裕のある抵抗器に置換しています。動作環境にもよりますが、通常は実際の損失の2倍以上のW数の抵抗を使用するのが普通です。このような箇所が他にもあるかもしれません。時間をかけて調べて見る必要もありそうですネ。


2008年1月22日 (火)

B−I新レストア日記12 調整と測定  

最初にご報告です。

狭い我が家で長期間レストアしていたため、家族の冷たい視線を浴びてしまいました。shock
心を込めてレストアしましたが、本機の居場所の確保ができなかったため、オークションへの出品を12月頃から考えておりました。coldsweats02
しかし幸いなことに別ルートで行き先が決まりました。smileいつもB-Iをはじめ、いろいろな情報交換をさせて頂いている方にお譲りすることとなりました。大変信頼できる方heartですので、安心してお譲りできそうです。smile現在その方のためにB-Iの最終整備と、UC-Iの全トランジスタ交換と調整を行っている最中です。


さて、B-Iの調整です。

B-Iの調整中の様子です。写真右側の白っぽい基板が自作の調整用の冶具です。B-Iをいじり始めた頃は当然ながらこの冶具は作っていなかったので、裏面からダミーを取り付けたり、テスタの棒を当てたり、クリップを使用したりして調整していました。隣の端子に接触しそうになったり、それはそれは危険な作業でした。
この冶具を作ったおかげで正確かつ安全、更に早く調整できるようになりました。smile
また、写真でお分かりのとおり一部の部品の配置を変えています。酸金抵抗の一部には温度特性の良いものが使われています。逆に言うと温度による抵抗値変化があると困る部分に使われていると言うことです。(誤差アンプ入力部分の分圧回路に使用されてます) この抵抗を温度変化の少ない部分へ持ってきています。それはドライバ用電源電圧を周囲の温度変化に対して更に安定化させるためなのです。


まず、2SK77を装着しない状態で電源電圧の確認とゲートのバイアスを深くした状態に調整します。(上の写真の状態で調整) なお、前にも述べましたが、普通のアンプと違って単純に終段を実装しない状態では調整できません。coldsweats02
それから2SK77を装着し、アイドリング電流を400mAに調整します。ここで注意しなければならないのは、SITは負の温度特性であることです。スイッチを入れていきなり調整しても次第にアイドリング電流が変わってきます。私の場合は30分〜1時間程度経過して再調整します。
 平行して、DCバランスを調整します。これも同様にバイアスが安定した時点で0Vに調整します。
 更に、B-Iにはあと2つの調整箇所がありますが、1つは電源電圧変動に対してもバイアス電流値が変化しないようにする回路です。スライダックを使用しながら調整します。
もう1つは歪率を最小にするための交流バランスの調整点であり、一定の周波数および出力を出した状態で歪率が最小となるよう調整します。
 これらを調整するとDCバイアス電流値も若干変わりますので、根気強く歪率を最良点へ追い込んでいくような感じで調整する必要があります。バイアス電流とオーディオアナライザ(歪率)を見ながら時間を掛けての調整となります。 この調整には十分な慣れが必要でしょう。B-Iの調整が難しいのはこの部分です。
なお、測定器は電源ONから最低1時間程度は経過してから使用しましょう。 「スイッチON→すぐ測定」は駄目ですよぉ。

ちなみに、測定に使用した機器は、
低歪発振機内蔵オーディオアナライザ:松下電器製 VP-7220A
オシロスコープ:テクトロニクス 2225
AC電圧可変トランス:東芝製スライダック 0V〜130V 10A
テスタ:三和 EM7000(アナログテスタ)、その他デジタルテスタ数台
電力計:横河電機製 交直両用の単相電力計
その他:DALE製ダミー抵抗、電源過負荷試験用抵抗器、自作の冶具、ケミコン放電用の琺瑯抵抗など

測定器はアマチュアには上記で十分と思います。ただ、校正は必要ですので、お金をためてからやろうと思います。
それから、アンプの動作状況変化を人間が把握するにはアナログテスタは必須です。デジタルテスタも必要ですが、アンプの動作を手に取るように把握するにはアナログでなければなりません。

自動測定ができるような高価な測定器具はありませんので、B-Iへの入力周波数と入力信号レベルを手動で変えながら歪率を測定します。(VP-7220Aにはプリセット機能があるのでこれを活用すれば少しは楽に測定できそうです)

結果を以下に掲載します。

測定値をEXCEL入力し、グラフを描きました。最良点は右チャンネルの出力1W時で0.005%、左チャンネルも出力1W時で0.006%と大変良好な値です。心を込めて整備した甲斐がありました。smile
また、ランブルフィルタのOFF時とON時の周波数特性も測定しておきました。今回お譲りする方には、これら測定結果も一緒に提供します。
なお、グラフに大事な測定条件を記載し忘れてますが、負荷抵抗は純抵抗で6Ωです。B-Iにとっては8Ωより若干ではありますが過酷な条件と言えます。

ところで、ご覧になる方によっては、測定結果よりEXCELでの片対数・両対数グラフの作り方に興味があるという方もいらっしゃるでしょう。「EXCEL 対数グラフ」でググッて見てください。参考になりますよ。


2008年1月20日 (日)

B−I新レストア日記11 最終段階

 新レストア日記もそろそろ終わりに近づいてきました。今回は紹介していなかった基板、電源リレーの駆動回路から紹介しましょう。

左側は部品交換前の基板と交換する部品、右側が部品を交換した写真です。コンデンサは耐圧に余裕のあるものを使用しています。



スピーカリレー回路付近を清掃中です。全ての配線の半田付けを外さない限りかなり清掃がしにくい部分でもあります。
写真のとおり、特にさびも無くきれいな状態です。



ネジとビニールワッシャを新品に交換します。写真の左上の部分に古いネジと新しいネジを比較のために掲載します。
元々の機体が比較的状態が良かったため、背面パネルを清掃すると写真の様に大変キレイになりました。


機体の内部清掃は、結構根気が必要ですが。気長に整備するつもりでやると宜しいかと思います。

2008年1月10日 (木)

今年もよろしくお願いいたします

遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。

本ブログも今年4月で3年目を迎えます。これまで沢山のアクセスを頂きありがとうございます。

我が家では毎年恒例となっている年末年始のスキーに今年も行ってまいりました。昨年より沢山の雪があり、朝から夕方まで、山頂からふもとまで思う存分滑ることが出来ました。(おかげで、ブログの更新がおろそかになっていましたが)

山頂付近の写真です。樹氷が青空に映えとてもキレイsign01 


山頂付近から見た風景です。
遠くに見える妙高山の雪景色がとてもキレイ。


私はこのブログで紹介しているような電子機器の整備も趣味の一つですが、スキーも大好きな趣味の一つデス。smile
サラリーマンとして、1年間つらい仕事が出来るのもこの時期のスキーのおかげと断言できます。sign01 


ところで、年末年始でスキーをやっていた以外は、新レストア日記のB−Iのエージングをしながら別の機体の整備をしておりましたが、年末のバタバタで集中できないため平行して部品の調達も行ってました。smile

B−Iで使用されている石の大部分がとても入手困難となっており、2SA763という新日本無線(JRC)製の石もその1つです。
はっきりしたことは分かりませんが、同じJRC製の2SA620という石は2SA763のメタルキャンパッケージ版のようで、規格がジャンクション温度の最大定格以外は全く同じです。用途もローノイズ用途です。今回この2SA620という石が奇跡的に入手できました。少々高価でしたが。
この石の規格は、有名な以下のサイトで確認してみてください。
http://www.minor-audio.com/data/data_tr.html
ちなみに、このサイトを開いていらっしゃるLOBSさん。この場を借りてお礼を申し上げます。いつも活用させていただいております。

腐食が全く無いshineピカピカshineのメタルキャンパッケージで、
足の取り出し口はガラス封止、それに足は金メッキされています。
また、スカート部分も金メッキというゴージャスな1970年代のコストを掛け真面目に作られたトランジスタです。いまや超貴重な絶滅寸前の正統派トランジスタと言えるでしょうsign01


B−Iの2SA763の代わりにこの2SA620を使用したらどうなるかやってみたいと思ってます。(私の耳で判別できるような劇的な変化は無いとは思いますが、)
高熱を発するB−Iにとっては、ジャンクション温度最大定格が50℃も高い2SA620の方が相応しいかもしれませんね。

以前、大電力の無線送信機のメンテナンスを行っていたことを書きましたが、それらの機器の制御回路に使用されているトランジスタが2SA620のような信頼度の高そうなトランジスタであったことを思い出しました。